企業が製品を生産する際に必要となるコストのうち、人件費の水準を示す指標。名目雇用者報酬を実質GDP(国内総生産)で割って算出するもので、一般的には景気回復の初期に急速に低下し、その後次第に上昇するとされる。単位労働コストの上昇は、給与の上昇を示す一方で、企業はコストを製品価格に上乗せするため、物価も上昇する傾向がある。また、不況下の低価格競争では、企業はパートタイム労働者を増やすなどして人件費を抑制するため、単位労働コストの下降は物価の下落と結びつくことが多い。このことから、単位労働コストは物価変動の目安として注目され、内閣府はデフレ脱却の判断材料の一つとしている。日本の単位労働コストは、1998年以降低下が続いていたが、正規雇用の増加などを背景に、2008年1~3月期には0.2%増(前年同期比)とほぼ10年ぶりに上昇して注目された。