環境条件を人工的に制御することによって、季節に関係なく、屋内で農作物を連続生産する、未来型農業生産システム。屋内という閉鎖空間において、光、温度、湿度、水や培養液の補給を理想的条件で整えながら、土壌を複数の階層に多段的に設けて栽培することができるもので、温室栽培の発展型といえる。また、害虫の心配がなく、農薬の散布も必要としない。このように環境を整えた場合、植物の生育は早くなるものであり、生産性が向上するうえ、天候をはじめとする自然条件で収穫量が左右されることも起こらないため、一定の品質と量を確保でき、価格の変動も抑えることができる。さらに、工業的な生産管理が行えるため、生産履歴などの情報を示すトレーサビリティーの信頼性も向上する。現在、食品関連企業のいくつかが、これを実行し、収穫した野菜の販売も行っている。しかしながら、継続して電気エネルギーを消費することや、施設の管理費など、コストの問題が課題となる。この「植物工場」を推奨する経済産業省は、普及やアピールのために、2009年1月22日から同省庁舎別館にて、そのモデル施設を設置し、一般公開もしている。