企業が生産活動に必要な人員以上に雇用している余剰人員。内閣府の定義では「実際の常用雇用者と生産に見合った最適な雇用者数の差」を示し、社内失業者、過剰雇用者ともいう。「最適な雇用者数」とは、労働者や設備などの稼働率が最も高いときの生産を、平均的な労働時間で達成できる雇用者数のことで、推計時の国内総生産(GDP)や鉱工業生産指数など、生産規模に関する指標と過去の労働生産性に基づいて算出する。企業にとっては、技術者確保などの目的から必要なコストとも言えるが、リストラなどの雇用調整の対象となる可能性もあり、失業者予備軍と考えられる。2009年7月の閣議に提出された09年度「経済財政白書」(年次経済財政報告)では、同09年1~3月期の企業内失業者を、1980年以降で最悪の最大607万人と推計。前年同期の最大38万人と比べると、1年で約16倍増加したことになる。白書では、背景として08年9月のリーマン・ショック以降の急激な生産活動の低下をあげた上で、企業内失業者数はすでに限界に近く、早急な生産の回復がない場合には、大規模な雇用調整につながる恐れがあるとした。