原子力の規制を一元化する新組織「原子力規制委員会」を設置することを定めた法律。2012年6月20日に成立、同月27日の公布日から3カ月以内に施行される。これまで原子力に関しては、経済産業省の原子力安全・保安院が発電用原子炉などの規制、文部科学省が試験研究炉や核燃料物質などの使用に関する規制、国土交通省が舶用原子炉(実用舶用原子炉)の規制を担ってきた。東京電力福島第一原子力発電所事故を契機に、こうした縦割り行政の弊害を除去するため、原子力規制にかかわる業務を一元化する新たな組織を創設することになった。政府は当初、環境省に「原子力規制庁」を置く案を示していたが、野党との修正協議の結果、国家行政組織法3条に基づいた、いわゆる行政機関としての独立性が強い「3条委員会」として原子力規制委員会を環境省の外局に設置し、その事務局として原子力規制庁を置くことにした。同委員会は委員長と委員4人の計5人で構成され、任期は5年。いずれも原子力安全に関する専門家のなかから国会同意を得て首相に任命される。また、原子力規制庁の職員は、独立性を確保する観点から、5年の経過措置後は出身官庁に戻さない「ノーリターン・ルール」が適用されることになった。