外国企業に課す法人税などが無税か、税率が極端に低い国・地域。タックスヘイブンは、税金(tax)、避難所(haven)の意。企業はこれらの国・地域に設立した子会社などを通じて事業を行うことで、税負担を軽減したり、本国の規制を回避できる。経済協力開発機構(OECD)は、低税率に加えて、情報交換に消極的、税制が不透明などの基準を設けて「タックスヘイブン」を認定し、2000年には35の国・地域のリストを公表している。タックスヘイブンは、もともとカリブ海や太平洋の島国など産業に乏しい国・地域が多く、子会社の登録料が主な収入源となっていたが、課税逃れを助長する他、多くの国・地域が顧客情報の保護を法制化していることから、犯罪組織の資金洗浄(マネーロンダリング)や脱税の温床になっていることが問題視されてきた。08年に発生した世界的な金融危機では、ヘッジファンドへの規制の不備が問題となったが、ヘッジファンドの多くが課税や情報公開を避けるためにタックスヘイブンに本拠地を置いていた。09年2月に開催されたヨーロッパ主要国による緊急首脳会合では、タックスヘイブンへの制裁を含む、ヘッジファンドへの監視強化で合意。OECDでは、タックスヘイブンのリストから、規制への協力を表明した国・地域を順次除外しており、09年3月時点の掲載国は、アンドラ、リヒテンシュタイン、モナコの3カ国となっている。