虎網とよばれる袋状の漁網を使った新しい漁法。灯船が集魚灯を点灯させて集めた魚群を、虎網を装備した漁船が旋回しながら網をめぐらして取り囲み、船尾から網を巻き上げて魚を獲る。巻き網と底引き網の両方の機能を併せ持ち、効率よく漁獲できることから、台湾や中国で導入が急速に進んでいる。中には船尾に小型の補助艇を搭載した、全長40~50メートル、網の幅が1200メートルに達する大型の虎網漁船もある。虎網は巻き網のように底を絞って巾着状にする必要がないため、乗組員の人数は従来の巻き網漁の半分程度ですみ、人件費や燃料費が安く抑えられるうえに、漁獲量は約3倍になるなどのメリットは大きい。しかし一方で、引き上げるときに魚に傷がついて売り物にならなくなるおそれがあることや、乱獲による資源の枯渇が懸念されることから、日本では関心は高いものの導入していない。近年、日中漁業協定で定めた、両国が漁業を行うことができる東シナ海の中間水域で、虎網を使ってアジ・サバ類を大量に漁獲する中国漁船が急増し、日本の漁獲量が減少するなどの悪影響も危惧されている。