雇用保険で実施する雇用福祉事業(2007年廃止)として、独立行政法人の雇用・能力開発機構が設置した勤労者向けの賃貸住宅。ハローワークの紹介で転居を伴う就職をする勤労者などが、原則2年契約で入居できる。正式名称は「移転就職者用宿舎」で、元来は閉山で失業した炭鉱就業者らの仕事と住居を確保する目的で1961年から設置された。委託を受けた財団法人雇用振興協会が運営・管理を行い、2008年時点で全国に約1500住宅(約14万戸)がある。家賃は3DKで月額平均2万5000~3万円程度だが、民間住宅の拡充や建物の老朽化もあり、かねてから空室率の高さが指摘され、05年には入居資格のない公務員らが入居している実態も明らかになった。06年3月に閣議決定した規制改革・民間開放推進3カ年計画の再改訂案に廃止の方針が盛り込まれ、07年3月には、21年までに地方自治体などに売却することが発表されている。08年には、世界的な金融危機の影響などから派遣労働者らの雇用契約を打ち切る企業の増加が社会問題化し、政府は同年12月、従業員寮からの退寮を余儀なくされた失業者らへの支援として、計4万3000戸の空室を提供すると発表した。