農地の貸借規制を大幅に緩和し、効率的な利用を図ることを目的とする法改正で、2009年6月17日に成立した。今回の改正では、1952年の制定以降、第二次世界大戦前の地主制度が復活しないように明記していた、「農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認め」などの文言を削除。新たに農地の有効利用が図られるように、農地の許可基準の見直しなどを盛り込んだ。これにより、農地制度の基本が「所有者保護」から、「有効利用」の考え方に転換したことになる。改正の背景には、耕作放棄地の急増や、高齢化などによる農業の担い手不足問題がある。改正のポイントは、一般企業による農地賃借の原則自由化と、転用規制の強化。企業が借りられる農地は、市町村が指定した区域に限るとした現行規制を撤廃し、優良な農地も利用できるようにしたほか、賃貸借の存続期間も最長20年から50年に延長した。転用については、違反した企業への罰金を最高300万円から1億円に引き上げるなど、罰則を強化した。