投資の促進を目的に、協定締結国の企業や投資家の投資を保護し、規制の透明性を確保する国家間の協定で、法的な拘束力を持つ。貿易には包括的な国際ルールとして、世界貿易機関(WTO)のWTO協定があるが、投資には同様のルールがないため、各国が独自に交渉や締結を進めている。2国間で締結される2国間投資協定(BIT ; Bilateral Investment Treaty)が中心だが、日中韓投資協定のような多国間協定も存在する。また、単独の協定ではなく、自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)に投資協定に相当する内容が盛り込まれる場合もある。日本は2012年4月現在、署名数で28カ国と協定を締結している。
投資協定のおもなルールには次のようなものがある。(1)投資の受け入れ国が第三国に与える待遇より不利な待遇を相手国に与えない最恵国待遇。(2)自国企業より不利な待遇を相手国に与えない内国民待遇。(3)原材料の現地調達など、投資の条件として特定の措置を要求することを禁止するパフォーマンス要求の禁止。(4)投資財産の保護に慎重な注意を払い、適正な手続きを行うなどの義務や、恣意的措置の禁止などを定めた公正衡平待遇。(5)政府が投資家との契約などでした約束の順守を義務付けるアンブレラ条項。(6)政府の国有化(収用)を原則禁止し、実施された場合の公正な補償を義務付ける収用の条件と補償。(7)資金送金などの自由を義務付ける資金移転の自由。(8)相手国政府の投資協定違反で損害を受けた場合に国際的な仲裁手続きによる仲裁を可能とする投資家と国家の仲裁手続き(ISD条項)など。