自動車の安全装置の一つで、アクセルとブレーキを同時に操作した場合に、ブレーキが優先される機構のこと。油圧やワイヤによらない、電子制御スロットルシステムに対応するもので、1980年代後半に登場した。主にヨーロッパやアメリカの自動車メーカーが、オートマチック車に採用している。走行中、アクセルペダルを踏み込んだまま、左足などでブレーキペダルを踏むと、ブレーキがかかるのと同時に、スロットルバルブと呼ばれる燃料供給のための絞り弁が強制的に閉じられ、エンジン回転が下がる。その際、ブレーキペダルを放せば元の状態に復帰する、というシステム。故障や不具合でアクセルペダルが踏まれた状態から戻らなくなり、暴走事故が起きるのを防ぐ対策として、アメリカの自動車業界では標準技術になりつつある。このように、万一の障害をあらかじめ想定し、緊急時に安全側に制御するよう設計された仕組みをフェイルセーフという。2010年2月、日本ではトヨタ自動車が、今後世界で生産するすべての新モデルに、順次搭載して行くことを発表した。