基礎年金の財源を確保するために発行する債券をいう。交付先は公的年金の積立金を管理する独立行政法人。交付国債は国が金銭を給付する代わりに発行する債券で、受け取った側は財源として必要となった場合に換金する。一般に無利子で、国にとっては請求があるまでは現金を必要としないため、発行時に全額予算に計上する必要がなく、当面財政悪化を防ぐことができるという利点がある。過去には預金保険機構による金融機関の破たん処理や、銀行などへの資本注入を実施する際に発行された。基礎年金の国庫負担財源については、民主党政権はこれまで特別会計などで余った、いわゆる「埋蔵金」を充ててきたが、これ以上の捻出は困難と判断。2012年2月10日に基礎年金への国庫負担割合2分の1を維持するため、年金交付国債を発行することを盛り込んだ国民年金法改正案を閣議決定し、国会に提出した。国庫負担割合2分の1を維持するのに不足する財源は約2.6兆円で、それを年金交付国債で賄うわけだが、返済の財源として将来の消費税増税を見込んでいるため、与党内にも反対意見がある。また、年金交付国債は赤字国債には含まれないが、野党からは新規国債発行額を抑えるための「粉飾」といった批判もあり、国会審議の争点になっている。