フォード・モーター、クライスラーとともにビッグスリーを形成した、アメリカ最大にして世界最大の自動車メーカー。1908年、ウィリアム・デュラントが、アメリカのミシガン州でビュイックを基盤に創業した。その後、キャデラック、ポンティアック、シボレーなどを買収し、大衆車から高級車までを扱うフルライン体制を整えて事業を拡大した。23年に初代最高経営責任者(CEO)に就任したアルフレッド・スローンは、事業部制や実績評価などの経営モデルを作り上げた。GMは31年に世界販売台数でフォードを抜き世界一となり、2008年にトヨタ自動車に明け渡すまで77年間、その座を維持した。1950年代から60年代にかけて全盛期を迎え、世界の製造業をリードしたが、70年代の石油危機以降、低燃費小型車の開発に後れをとり、日本やヨーロッパのメーカーの伸張を許した。その後は、販売の主力を利益率の高い大型車にシフトして高業績を維持したが、2007年に始まった原油価格高騰の影響で大型車が販売不振に陥り、小型車や環境技術への対応の後れから業績が落ち込み、07年度決算では過去最大となる387億ドルの赤字を計上した。さらに、08年9月に始まった金融危機では、国内新車市場の大幅な縮小とともに資金繰りが急速に悪化し、政府に巨額のつなぎ融資を申請する事態となった。09年には、再建計画の提出などで政府に本格的な支援を要請したが、債権者との調整がつかず、09年6月1日、連邦破産裁判所に連邦破産法11条の適用を申請して経営破綻した。09年3月末時点の負債総額は、製造業では世界最大となる1728億ドル。破綻後は、新GMを設立して優良資産を移管し、アメリカ政府が約60%の株式を保有して一時国有化、さらにアメリカ政府とカナダ政府が396億ドルを追加支援して再建を図る。同時に、旧GMには不採算事業を残して、ブランドの売却、清算を進める計画。なお、08年の事業規模は、シボレー、GMC、ビュイック、キャデラック、ポンティアック、サターン、ハマー、オペル、ボクソール、ホールデン、サーブ、GM大宇などのブランドを展開し、世界34カ国に生産拠点を置き、835万台を販売した。