2012年10月30日の日本銀行(日銀)金融政策決定会合で決まった追加金融緩和策の一つで、金融機関の貸し出し増加を促すための基金。10年度に導入した「成長基盤強化のための日銀新貸出制度(成長基盤強化貸出制度)」と、今回新たに創設した、日銀が「貸出増加を支援するための資金供給」と呼ぶ貸出制度からなる。成長基盤強化貸出制度は、環境・エネルギーなど成長分野の企業への金融機関の融資を支援する制度で、金融機関が成長企業へ融資を行う際に、日銀が審査の上で低利の政策金利で金融機関に資金を貸し出す。貸出枠の総額は5.5兆円。一方、新しい貸出制度は、金融機関の貸し出し増加分の全額を、日銀が低金利・長期で融資する制度で、支援金額に上限は設けず、事業内容も問われない。金利は政策金利(現在は0.1%)、最長4年まで借り換えができ、外貨建ての貸し出しも対象となる。金融機関が融資を拡大することを通じて、企業や家計の投資や消費の増加を促し、経済の好転、デフレ脱却につなげるねらいがある。また、海外企業への貸し出しは、円を売ってドルを買う必要があることから、円高是正の効果も期待できる、としている。制度の詳細は年内に決定の予定。貸出枠の制限はないが、支援は金融機関の融資の増加分に限定されるため、年間で15兆円程度の規模と試算されており、貸出支援基金全体では約20兆円の規模をもつことになる。