アメリカのオンデマンドブックス(On Demand Books)社製のオンデマンド製本機。電子化された書籍のコンテンツから実物の本を作製するもので、通常の単行本程度であれば数分~10分というコーヒータイム程度の時間で完成させることができ、それがネーミングの由来とされる。オンデマンド、すなわちユーザーの必要時に個別で即対応できるようにコピー機と製本機を直結させた簡単な構造となり、パソコンから投入されたコンテンツを高速プリンターで印刷し、表紙と合わせて糊付けしたのち、サイズに合わせて裁断する。機械の外装の多くは透明で、その一連の工程を直接見ることもできる。仕上がりはカバーのないペーパーバックのかたちで、中身はモノクロ、表紙のみがインクジェットプリントによるカラー印刷となり、印刷状態も製本状態も通常の書籍に劣らない。対象となるのは、著作権を失効したものなど知的財産権のないパブリックドメイン(public domain)と呼ばれるコンテンツが中心で、そのほとんどは「グーグルeブックス」で公開されている約300万冊の洋書となる。中には入手困難な学術書も多く、欧米では大学や図書館をはじめ、教育目的で利用されることが多い。日本では、「電子書籍元年」と呼ばれた2010年の12月15日に、三省堂書店の神保町本店(東京都千代田区)に導入され、「三省堂書店オンデマンド」としてサービスが開始された。注文は1冊から可能となり、現時点では、和書に関しては多巻物を含めて約2000タイトル・5000冊で、洋書のタイトル数には遠く及ばないが、今後、国内の出版社の協力を得て、品切れや絶版になった書籍に対しての対応や、リストにない書籍についてのリクエストも受け付け、ラインアップを充実させていくという。料金はタイトルによって異なるが、和書は本来の定価と同等で、洋書は送料などがかからない分割安となる。自費出版にも対応し、少ない部数や急ぎの納期などへも柔軟な対応を受け付けている。