主食用のコメの価格を維持するため、生産量を調整すること。実質的に作付面積の削減を意味するため、水田の単位「反」から減反とも呼ばれる。1967年にコメの完全自給を達成した日本では、食生活の変化に伴う消費の減少もあって慢性的に余剰米が発生しており、価格の下落を防ぐ目的で69年から試行が始まり、71年に本格導入された。現在では、農林水産省が公表する「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」に基づいて、各地の農業協同組合などが調整計画を策定し、稲作農家に計画への参加を原則として義務付けている(罰則はない)。参加農家には麦などへの転作を促す補助金が支給されるが、2006年に農業就業者の40%以上を60歳以上の高齢者が占めることなどを背景に転作は進んでおらず、耕作放棄地の増加の一因ともされる。さらに、新規就農者の意欲減退、補助金の財源問題も指摘されている。09年1月には、コメの生産調整の見直しを軸とした農政改革を検討するため、農政改革関係閣僚会合が新設され、取りまとめ役となる農政改革担当大臣を石破茂農林水産相が兼務することが決まった。検討結果は、10年に改定予定の「食料・農業・農村基本計画」に反映される。