京セラ株式会社(本社・京都市)の創業者であり、カリスマ経営者として知られる稲盛和夫が、自らの会社経営で実践した独自の経営手法。アメーバ経営は、企業の組織を「アメーバ」と名付けた数人から数十人の小集団に分け、各集団にリーダーを置き、独立採算制で運営する。業績は、もうけたお金をそのために使った時間で割った指標などを使った「時間あたり採算」によって評価するため、各集団は、時間あたりの収益を高めるための効率的な経営に取り組むことになる。これによって、社員全員に経営意識が浸透し、生産性の上昇やスピード感なども意識することになるほか、リーダーとなる人材の育成にも効果がある。さらに、小集団は状況に応じて大きくしたり分割したりするため、組織としての自由度も高い。「アメーバ経営」の名前は、この組織が柔軟に姿を変えることに由来する。稲盛氏は、アメーバ経営によって1兆円企業の京セラ、KDDIを育て、経営破綻した複写機大手の三田工業(現京セラミタ)を再生させた実績をもつ。その手腕を見込まれて、2010年2月1日に会社更生法の適用を申請して経営再建を進める日本航空の会長に就任した。なお、「アメーバ経営」は京セラの登録商標となっている。