15歳以上の人口に占める就業者の割合。総務省が毎月発表する「労働力調査」で示される指標で、この場合の就業者とは、産業分野や就業形態を問わず、月末の1週間に少しでも仕事をした者を指す。一般に、国民の就業状況を示す指標としては、労働力人口(15~64歳)に占める完全失業者の割合である、完全失業率が使われることが多い。しかし、完全失業者は、「仕事についておらず、仕事があればすぐつくことができる者で、仕事を探す活動をしていた者」と定義されるため、完全失業率には求職活動をしていない者の動向が反映されず、求職の意欲を失った者が多い場合には、実際の就業状況に反して数値が改善することもある。このため、2008年秋の世界的な金融危機以降、就業状況の悪化が伝えられる中で、雇用対策の立案で参照する指標として、実際の仕事の有無を示す「就業率」を重視すべきとの声が高まっている。1990年に61.9%、95年61.4%と推移していた就業率は、2000年59.5%、05年57.7%と低下を続け、10年1月には56.2%と1953年の調査開始以来最低になった。