2010年4月に宮崎県で発生した家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)に対処するために制定された時限立法。10年5月28日に衆議院本会議で可決・成立、同年6月4日施行。家畜伝染病の拡大防止については現行法の家畜伝染病予防法があるが、ワクチン接種後の家畜の殺処分には所有者の同意が必要なこと、殺処分された家畜の埋却地は所有者が用意しなければならないことなどの問題があるため、感染拡大の防止や被害を受けた家畜所有者への補償などの必要から口蹄疫対策特別措置法が制定された。12年3月末までの時限立法で、それまでに家畜伝染病予防法の見直しを進める。口蹄疫対策特別措置法では、(1)口蹄疫のまん延防止、(2)口蹄疫への対処に要する費用の国負担、(3)生産者の経営や生活の再建支援、などについての特別措置を講じるというもの。具体的には、(1)では、口蹄疫のまん延防止のため、消毒設備を設置している場所を通行する場合は、車両や物品、身体の消毒を義務づける。また、口蹄疫の発生により家畜の殺処分が必要と判断される指定地域内で、緊急の必要があれば、知事が所有者の許可がなくても殺処分を実施できる。(2)と(3)では、処分された家畜の焼却や埋却について、所有者からの要請があれば、国が埋却地や必要な人員を確保し、その費用を国が負担する。また、被害にあった所有者には、必要な資金を無利子で貸し付け、その他、費用の助成を行う、など。