国際機関、外国政府、法人などの非居住者が、日本国内の資本市場で募集・発行する円建て外債のこと。サムライの国日本で発行する債券ということからこの愛称がついた。利息、償還金は円で支払われる場合が一般的だが、サムライ債の中には利払いを円、償還を外貨とするデュアル債、利払いを外貨、償還を円とするリバース・デュアル債もある。投資家にとっては、通常の外国債券と異なり為替変動のリスクがなく、傾向として日本企業の債券と比べて、同程度の格付けでも利率は高めというメリットがある。発行体にとっては、日本市場は資金調達がしやすく、低金利のために調達コストも低いというメリットがある。サムライ債は日本国内で発行される国内債のため、日本の法律に準拠する債券で、1970年12月に初めて、アジア開発銀行が発行した。近年では、日本の低金利を背景に発行市場は拡大していたが、2008年9月のリーマン・ショック以降、世界的な信用収縮から急速に市場が縮小した。しかし、10年以降、欧米市場が信用不安から金利が上昇傾向にあるため、低金利で安定する日本が見直され、再び市場が拡大しつつある。なお、円建て債券にはサムライ債以外に、海外で発行される円建て債券がありユーロ円債と呼ばれる。また、非居住者が日本国内で発行する外貨建て外債はショーグン債と呼ばれる。オーストラリアならカンガルー債、中国ならパンダ債、カナダならメープル債というように、サムライ債同様に、自国市場で発行する自国通貨建て外債に愛称がつく国もある。