事業者間の公正な競争を妨げる行為を「不正競争行為」として禁止する法律で、「工業所有権の保護に関するパリ条約」を批准するのに必要な国内法として、1934年に成立。「不正競争行為」には、他社の商標の不正使用、営業上の秘密についてのスパイ行為、原産地や品質を誤認させる表示などが含まれ、知的財産法や景品表示法の一環としても位置づけられる。成立の経緯から、日本が批准した条約上の禁止行為も盛り込まれ、国際機関の標章や外国の国旗などを商標として使用することも、同法によって禁じられている。98年には、OECD(経済協力開発機構)の「外国公務員贈賄防止条約」の成立に伴って改正され、「不正競争行為」に外国公務員等に対する贈賄行為が加えられた。贈収賄事件は、収賄側の汚職事件として認識されることが多いが、不正競争防止法の場合、わいろの提供の禁止に重点が置かれている。2004年の改正では、国外犯も外国公務員贈賄罪の対象になり、08年8月には、ベトナムのホーチミン市の幹部に対する贈賄事件で、日本のODA(政府開発援助)事業をめぐる事件としては初めて、コンサルタント会社の元幹部らが逮捕された。