上場企業の社外取締役、社外監査役のうち、経営陣との利害関係がなく、独立性の高い役員。上場企業の経営において、経営陣の意向が優先され、一般株主の利益が損われることのないよう監視する役割として設置される。海外では、上場企業に独立役員の選任を義務付ける制度を持つ国は少なくない。日本でも、監査役会の過半数を社外監査役とするよう会社法で求めるなど、企業経営の透明化を図る制度はあるが、「社外」には経営者の親族も含まれることなどから、日本企業の閉鎖性が指摘される一因となってきた。2009年6月には、金融庁の金融審議会と経済産業省の企業統治研究会がそれぞれ、コーポレート・ガバナンス(企業統治)向上の一環として、独立性の定義などをまとめた報告書を作成。これに基づいて、東京証券取引所が同年12月に業務規程を改正し、10年3月までに1人以上の独立役員を選任するよう上場企業に義務付けた。11年3月以降も不在の場合には罰則の対象になる。利害の範囲を明示して、該当者の選任を認めないアメリカなどとは異なり、企業が提出する「独立役員届出書」を開示して、投資家がチェックする制度となっている。東証が規定する利害関係者が独立役員に選任された場合には、その理由もあわせて開示される。大阪証券取引所とジャスダック証券取引所も、同様の制度改正を実施している。