国家の対外債務の返済能力に対する危険性のこと。狭義には、各国の政府や政府関係機関が発行する債券(ソブリン債)に対する危険性を指す。ソブリン(sovereign)とは君主、独立国家、主権者という意味。2009年のドバイショックやギリシャをはじめとするヨーロッパ各国の財政悪化などから注目されるようになった。金融市場では、国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証料率が高くなると、ソブリンリスクが高まるといわれている。CDSとは、債務不履行に備えて元本を保証する金融派生商品の一種。ソブリンリスクと同義で使われる言葉にカントリーリスクがある。どちらも国家の信用リスクを指すが、カントリーリスクは、特に投資家や民間企業が融資・投資対象国の信用度を評価する際に用いられる。カントリーリスクは、主に新興国が高く、アジア圏の国は比較的低い傾向にある。カントリーリスクの評価は、各国さまざまな民間格付会社が行っており、またその評価方法も異なる。主に、該当国の外貨保有状況や財務状況、GDP(国内総生産)、政治の安定性、過去の返済実績などを総合的に分析する。日本では、株式会社日本政策金融公庫の国際部門である国際協力銀行がカントリーリスクの調査を行っており、世界100カ国について年4回の見直しを行っている。