国の税制の方向性を示した文書。政府が毎年12月に経済や社会情勢を考慮しながら策定し、翌年1月の通常国会に大綱に沿った税制改正法案を提出する。自由民主党政権下では与党の税制調査会が内容をまとめていたが、民主党政権では政府の税制調査会がまとめている。2010年12月16日に閣議決定した11年度税制改正大綱は、民主党政権になって2回目の改正で、菅直人政権発足後初めてとなる。今回の改正は、(1)デフレ脱却と雇用のための経済活性化、(2)格差拡大とその固定化の是正、(3)納税者・生活者の視点からの改革、(4)地方税の充実と住民自治の確立に向けた地方税制度改革、の4つが柱。なかでも目玉となるのが、国と地方を合わせた法人実効税率(法人税)の5%引き下げ(現行40.69%)で、これにより企業の成長を促し、雇用や投資の拡大を目指す。一方、個人に対しては、給与所得控除を年収1500万円超で頭打ちにするほか、相続税の最高税率(現行50%)を55%に引き上げるなど、高所得者や資産家を中心に税負担を求める内容になっている。このほか、地球温暖化対策税(環境税)や、雇用を増やした企業を優遇する「雇用促進税制」の導入なども盛り込まれた。