電子ブックリーダー、eブックリーダーともいう。紙とインクで作られた書籍ではなく、デジタル化された電子書籍データを表示させて読むための端末機器。今では、電子書籍端末はたんに書籍データを表示するだけでなく、パソコンを介さずに自前の通信機能で、専用の電子書籍の販売サイトからデータをダウンロードできるものが標準となりつつあり、ノートブックPCと同様の機能を持つ端末も登場している。これを普及させたのは、ネット書店の大手アマゾンが2007年に発売したキンドル(399ドル)である。アマゾンは約9万冊のキンドル版書籍を1冊10ドル以下で用意し、ダウンロード費用はアマゾンの負担として市場に投入したことから、キンドルは1年間で25万~35万台が販売された。これに続き10年4月、アップルが電子書籍端末にも使えるタブレット型コンピューターのiPad(499~829ドル)を投入。アメリカでは、発売初日だけで販売台数は30万台に達し、ダウンロード数は初日だけで、iBookstore(アイブックストア)からの電子書籍は25万冊、App Store(アップストア)からのiPadアプリは100万本にも及んだ。これに対してアマゾンは、キンドル以外の端末機器でもキンドル版書籍の購読が可能なソフトを無料配布して、ユーザー層の拡大を図ろうとしている。当初電子書籍端末は、04年に、日本のソニーやパナソニックにより導入が試みられたが、ソフトウエア(書籍)など環境の不備からデファクトスタンダード(事実上の標準化)を確立するにいたらなかった。その後キンドルに刺激され、ソニーがソニーリーダー・デイリーエディション(349ドル)を09年末に投入したことから電子書籍市場が拡大した。このほかにも新たな端末の登場も盛んで、アメリカの老舗で最大手書店のバーンズ・アンド・ノーブルがnook(ヌック)(259ドル)を、サムスンが韓国国内にSNE-50K(約270ドル)を09年に投入しており、フィンランドのノキアも10年内のリリースを予定している。日本の電子書籍市場では、08年11月からiPhone/iPod touchへの対応を始めたeBookJapanの書籍のダウンロード数は1年間で10万冊を超え、紙媒体の書籍・雑誌の売り上げが低迷するなか、電子書籍の動向が注目されている。これらを受けて、電子書籍端末や電子書籍の動向に合わせて日本語の電子書籍の規格や法的問題などについて協議し、その消費ニーズを分析することを目的に、日本電子書籍出版社協会(EBPAJ)が10年3月に設立された。