価格変動設定と訳され、需要と供給のバランスに応じて、同一商品の価格を時間や時期によって変える方式を指す。例えば、ホテルが宿泊客の少ない時期に料金を下げることや、プロ野球の試合で対戦カードの人気度によってチケット価格を変えることなどが該当する。日本では新しい試みとして2012年4月、福岡県北九州市が電気料金にダイナミックプライシングを採り入れる実証実験を始める。 同市が取り組んでいる「北九州スマートコミュニティ創造事業」の一環。同市八幡東区東田地区の約300の家庭や事業所を対象に、隣接する新日本製鉄八幡製鉄所の発電から供給されている自営線を使って、季節や曜日、時間帯により電気料金の単価を上げ下げする。電力消費の多い時間帯には料金を大幅に高く設定して、消費者の節電を促し、電力利用が同じ時間帯に集中しないようにする。電力需要の少ない時間帯は料金を値下げする。料金は翌日の電力需要予測に基づき30分単位で設定し、前日のうちに各家庭・事業所に通知する。電力会社側にとっては、ピーク時への集中が緩和されて電力消費全体が平準化すれば、発電量を時間帯に応じて調整する必要が小さくなり、コストが低減することになる。北九州市の実証実験は3年間続けられる。