2009年11月25日に、ドバイ政府が、政府系投資持ち株会社と不動産開発会社の債務返済の延期要請を発表、これがきっかけとなって世界中に信用不安が広がり、証券市場、為替市場に混乱が引き起こされた現象。アラブ首長国連邦(UAE)を構成する首長国の一つドバイは、中東・湾岸地域の金融・流通センターとして、海外からの巨額な資金借り入れによる大規模な不動産開発を通じて経済発展を図る戦略を作り上げた。しかし、08年秋から始まった金融危機で資金調達が困難になったことから、投資持ち株会社のドバイワールドと子会社の不動産デベロッパーのナキールの資金繰りが悪化し、政府による債務返済の延期要請となった。その金額は約600億ドルにおよび、債権の多くはイギリスをはじめとするヨーロッパ系の金融機関によるものと考えられたことから、ヨーロッパの主要証券市場では、ドバイへの与信残高が高いとみなされた金融機関や中東系の株式保有比率が大きい会社を中心に売りが広がり、株価が大幅に下落した。この動きはアメリカやアジアの主要市場にも拡大し、27日の証券市場は全面安の展開となった。たとえばニューヨーク証券取引所のダウ工業株平均は、一時230ドル以上下落し、東京証券取引所の日経平均株価も301円安となった。また、証券市場の動きを嫌った資金が国債市場に流入したために、国債の利回りが低下した。為替市場も、それまでのドルの独歩安基調から、ユーロも下落したため、円の独歩高を招き、27日の東京外国為替市場では対ドル相場が一時84円82銭と、14年ぶりに84円台を記録した。