キングサーモン(マスノスケ)とニジマスとを交配した養殖魚。バイテク魚とも呼ばれる染色体操作によって作られた魚で、山梨県水産技術センター(同県甲斐市)が開発した。染色体操作とは、遺伝子を組み換えるのではなく、圧力や温度差などにより受精卵にショックを与えるなどして、染色体の数や組み合わせをコントロールする技術。同センターでは、飼育が難しいもののサケの中では美味とされるキングサーモンと、比較的飼育しやすいニジマスとを交配する実験を2007年より行い、交配した個体は、3年間で体長約60センチ、重さ2キロ程度まで成長した。11年10月には、生殖機能を持たない雌を生み出すことに成功。生殖機能を持たない雌は、卵巣に栄養をとられないためよく育つという利点がある。今後は、すべての稚魚が雌となる卵の開発に取り組み、同県のブランド魚として売り出すことを目指している。なお、染色体操作による養殖魚としては、他に長野県水産試験場が開発した、ニジマスとブラウントラウトとの交配による「信州サーモン(ニジニジブラ)」などがある。