民間銀行などが日本銀行(日銀)に開いた当座預金に金利を付ける仕組み。2008年10月31日の金融政策決定会合で、資金需要の増える年末、年度末の08年11月中旬から09年4月中旬までの臨時導入が決まった。日銀当座預金は、法律により一定額の預け入れが義務づけられた無利子の口座だが、補完当座預金制度は、義務づけ額以上の超過分に、誘導目標の無担保コールレート(オーバーナイト物)水準から日銀が定める数値を差し引いた利率で金利を付ける。今回の決定では金利は年0.1%と決められた。08年9月以降に広がった世界的な金融不安を背景に、日銀は、短期金融市場での資金調達が難しい銀行への資金繰り支援として、大量の資金供給を実施して市場の安定化を図っている。しかし、市場に資金があふれた状態では、体力のある銀行が余剰資金を短期金融市場で運用するなどして、誘導目標よりも極端に低い金利での市場取引が生じる。これに対し、当座預金に金利がつけば、それより低い金利で市場運用する必要はなくなる。そのため、日銀の当座預金の金利が事実上の短期金利の下限になり、日銀は、短期金利が誘導目標を下回るのを避けつつ、市場に安定的で大量の資金供給が可能になる。なお、金利の上限も、公定歩合で自動的に貸し付けを行う日銀の補完貸付制度(10月31日決定会合で0.5%に引き下げ)によって事実上決められるため、誘導目標金利の0.3%を中心に、上下0.2%の範囲で動くことになる。日銀では、短期金融市場の円滑な機能を確保しつつ、安定的に大量の資金供給の実施が可能となる、としている。