発展途上国の貧困層を対象にしたビジネス。BOP(Base of the Economic Pyramid)とは、年間所得3000ドル未満の収入で生活する、所得別人口構成のピラミッドの底辺層のことで、世界人口の約72%(約40億人)が相当し、日本の実質国内総生産に近い5兆ドル(約450兆円)規模の大市場と目されている。これまでビジネスの対象とされてこなかったが、市場規模の大きさと将来性の魅力、また貧困層に対する企業の社会的責任の側面などから、欧米のグローバル企業を中心に取り組みが増えている。インドで洗剤やシャンプーを小袋で安く販売して収益をあげたユニリーバや、アフリカのナイジェリアでうまみ調味料をやはり小袋で安く販売し、売り上げを12年前の18倍(年間100億円規模)に増やした味の素などが成功例としてあげられる。慈善ではなくビジネスとして成立させるとともに、衛生面や栄養面での生活改善に貢献することもできる。国連開発計画(UNDP)やアメリカ国際開発庁(USAID)などにより、BOPビジネスに取り組む企業への支援も行われている。