作家の村上龍が2010年11月4日に設立を発表した、電子書籍制作・販売会社の名称で、GはGRAVITY(引力、重力)、GALE(強風)、GUTENBERG(グーテンベルク。印刷技術の発明者)などの頭文字から。音楽制作、ウェブメディアの運営やデジタルコンテンツの配信などを手がける(株)グリオと(有)村上龍事務所が50%ずつ出資し、グリオの船山浩平常務取締役が代表取締役に就任する。村上は、10年2月に文芸雑誌「群像」(講談社)で連載終了した長編小説「歌うクジラ」の電子書籍化をグリオに委託し、坂本龍一のオリジナル音楽を入れるなど、従来の書籍にはない電子書籍ならではの特性と魅力を付加し、リッチコンテンツとした。村上は各出版社からも、電子書籍ビジネスに対する熱意は感じたが、現実には出版社には電子化の知識と技術がないと判断して、新会社を興したという。G2010では、当面、iPad/iPhone向けアプリや、NTTドコモの「電子書籍トライアルサービス」向けに、村上の「歌うクジラ」のほか、よしもとばななの書き下ろしエッセー「Banakobanashi/ばなこばなし」や、瀬戸内寂聴の未発表小説などを提供する。10年11月からの初年度で、20タイトルの刊行と売り上げ1億円達成を目標としている。