熊本県が球磨川河口から約20キロ地点に設置した発電専用の県営ダム。高さ25メートル、幅210.8メートル、総貯水容量1014万立方メートルの重力式コンクリートダムで、1955年に完成した。荒瀬ダムを利用して発電する藤本発電所の年間電力供給量は約7467万キロワット時。熊本県南部へ電力を供給し、第二次世界大戦後の復興に貢献する目的で建設されたが、ダムの老朽化や水質悪化による漁業への悪影響が問題となり、ダムの設置地である坂本村(現・八代市)議会などの要望を受けて、2002年に熊本県がダム撤去方針を決めた。その後財政難により撤去方針が変更となったが、地元漁民の反対で水利権の更新が困難になり、10年に再び撤去を決定。同年3月に発電を停止し、4月にダムの水門を全開した。12年9月1日、全国初となるダムの本格的な完全撤去作業を開始。環境モニタリングなどを行いながら18年3月まで6年間、総事業費88億円をかけて撤去される。