投資信託を扱う証券会社などが、顧客の意思に基づいているか疑わしい状況で金融商品の売買を繰り返すこと。証券市場での短期間の売買は、投資家の積極的な投資意欲を示すともいえるが、顧客からの委託手数料が収入源となる証券会社にとっては、頻繁な売買は収益の増加につながるという面がある。このため、短期間での頻繁な売買は、証券会社が手数料収入を目的として、顧客の意思を確認せずに売買を行う無断売買などの懸念があるとされる。こうした懸念がある場合、金融商品取引法では、損失の発生や苦情の有無にかかわらず、金融庁や証券取引等監視委員会などが検査を実施できると定めている。2009年12月に金融庁は、不適当な勧誘行為を組織的に繰り返したとして、準大手証券会社のコスモ証券に対して業務改善命令を発令し、経営改善計画の作成と提出を求めた。証券取引等監視委員会の検査を経て、08年11月~09年8月の間に同社が、高齢者を中心とした1200人以上の顧客に対する回転売買で、約2億6000万円の手数料収入を得ていたことが判明したもの。