2011年4月8日に電力需給緊急対策本部が正式決定した、夏場の大規模停電回避のための需給対策。東京電力、東北電力は東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)で発電設備が被災、電力の供給能力が大幅に低下したたため、電力使用が大幅に増加する夏場は深刻な供給不足が予測される。猛暑となった10年夏期のピーク時瞬間最大電力は東京電力管内で約6000万キロワット、東北電力管内で約1480万キロワットを記録したのに対して、政府の試算では今夏の供給能力が各管内でそれぞれ、最大1500万キロワットと最大330万キロワット不足する見通しが出された。この需給ギャップを解消する対策として、需要面では契約電力の大きさに応じて使用電力の削減目標を設定し、東京電力で1000万キロワット、東北電力で280万キロワットの需要を抑制することになった。具体的には契約電力500キロワット以上の大口需要家に対しては25%程度抑制の目標を設定、電気事業法27条に基づく使用最大電力の制限令(電力使用制限令)を発動して、業界ごとの自主行動計画などで抑制を図る。さらに、500キロワット未満の小口需要家には営業時間の短縮、夏期休業延長などの自主計画で20%程度の削減を求める。また、家庭・個人に対しても節電意識の徹底や電力需給の逼迫状況を公表する電気予報などの需給データの公表によって15~20%程度を削減し、目標の達成を図るとしている。残りの不足分は、被災火力発電所の復旧、ガスタービンの新設、自家発電設備からの電力購入など、供給能力の積み増しで補うとしている。また、計画停電は夏期対策としても原則として実施せず、需給ギャップが解消できなかった場合のセーフティーネットと位置づけた。今後は4月末日までをめどに、実効性のある政策パッケージをまとめるとしている。なお、4月22日の報道によると、東京電力管内では、大規模自家発電設備を所有する企業の発電量拡大などによって供給力不足の一部が補われる見通しのため、企業の削減目標を15%程度に引き下げる方針が検討されている。