農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)中央農業総合研究センターの三浦清之上席研究員らが開発した、高温耐性に優れ、寿司米(すしまい)に向く水稲新品種。粒が大きく、粘りが少ないなど、寿司米に適した性質をもつ「ハツシモ」をもとに育成された「岐系120号」と、北陸を育成地とし、食味のよい「収6602」との交配から育成された品種となる。2002年から育成がはじめられ、08年には「北陸225号」の系統名で関係各県に配布されて、調査や試験が行われてきた。09年度からは株式会社ファーム木精(こだま)とともに適正を調べ、「ササニシキ」と比べ、外観、なめらかさともに優れ、硬めでほぐれやすいうえ、粘りも少なく、食感もあっさりしており、山口県と東京都の寿司店も協力したうえで、寿司米としての総合評価がササニシキやハツシモよりも優れていると評価された。また、翌10年度に見られた異例の猛暑下でも白濁化が少なく、高い品質を確保できたことから、11年9月8日、開発成果とともに「笑みの絆」の名で品種登録申請を行ったことや、寿司店と米穀店8店舗への供給予定を発表した。同研究員は、酒米品種として知られる「五百万石」と、コシヒカリから作られた「どんとこい」の交配から、清酒と泡盛に向く酒米の新品種「楽風舞(らくふうまい)」も開発しており、同日に発表した。どちらも農林水産省委託プロジェクトの「低コストで質の良い加工・業務用農作物の安定供給技術の開発」による成果となる。