地デジ(地上デジタル放送)やBSデジタル放送の高精細な映像が、無制限にデジタルダビング(コピー)が可能だと、海賊版DVDの横行など、さまざまな著作権上の問題が発生しかねない。そこで、これらの放送には、1回のダビングのみが許される「コピーワンス」の信号が加えられ、HDD(ハードディスク・ドライブ)を搭載したDVDレコーダーなどの録画機器では、HDDへの録画で1回とカウントされる。その録画データを、CPRMという著作権保護技術に対応したDVDなどの記録メディアへダビングすることはできるが、その時点でHDD上からは強制的に消去される。この動作は、録画データの移動であるため、「ムーブ」と呼ばれるが、その最中に電源が落ちてしまったり、機器や記録メディアに不具合が生じたりした場合でも、録画データはHDD上からも消えてしまう。こうした使い勝手の悪さは、かねてからユーザーの不評を買っており、総務省の情報通信審議会は、放送局、著作権団体、家電メーカーなどで検討委員会を結成。HDDから記録メディアへのダビングを9回まで認め、その後の10回目にムーブすることができる緩和策を検討している。2007年10月2日、電子情報技術産業協会(JEITA)は、この新ルールを「コピー9回+ムーブ1回」あるいは「ダビング10(ダビングテン)」と呼ぶことに決めた。07年10月時点では、地デジに対して先行的に適用される予定で、当初07年末を目標にしていた導入時期は、08年にずれこむ模様。また、現状の録画機器では「ダビング10」には対応できないが、おってソフトのバージョンアップで対応できるように設計された録画機器は発表されている。