インドのタタ財閥系自動車メーカーのタタモータースが、「大衆に手の届くクルマ」を掲げて開発した、10万ルピー(円換算で約28万円)の超低価格小型車。2003年に市場投入を宣言し、08年1月10日、ニューデリーの第9回オートエキスポで試作車が公開された。4ドアハッチバック形式4人乗りで、サイズは、全長×全幅×全高が3.1×1.5×1.6m。後席下に33馬力を発揮する2気筒623ccガソリンエンジンを搭載、後輪を駆動する。最高速度は時速105km。財閥の総帥ラタン・タタ会長によれば「環境はユーロ4基準に対応、安全基準も満たす」としている。ただし、標準ではエアコンやラジオはなく、ウインドーは手動開閉、ドアミラーは運転席側のみ、ワイパーは1本など、機能・装備面でコストダウンが図られている。インドは2輪車市場が中心で、06年度約790万台と、乗用車市場138万台の約6倍。10万ルピーは、乗用車市場で約50%のシェアをもつスズキの最安値車マルチ800の半値、かつ、従来の乗用車と4万~6万ルピーの2輪車価格の間を埋める設定で、スズキの追撃と、これまでクルマに手の届かなかった層の取り込みをねらっている。発売は08年9月を予定。当面はインド国内市場向けで、販売目標は年間25万台としている。