官民出資の投資ファンド会社、株式会社産業革新機構(INCJ)が2010年8月6日に設立を発表した、日本初の知的財産ファンド(知財ファンド)。病気診断の指標となるバイオマーカーや、再生医療に用いられるヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)、がん、アルツハイマーの4分野を対象に、特許などの知的財産に投資する。運営は、大手製薬会社で知的財産に関する業務を経験した専門家らがメンバーである知的財産戦略ネットワーク株式会社(IPSN)が行う。日本の大学や研究機関がもつ特許は、企業が求めるようなまとまった特許群ではない、研究目的で取得する特許で周辺特許が押さえられていないため価値が低い、などの問題点があった。これらを解決するため、LSIPでは大学や公的研究機関、企業などから特許を買い取るだけでなく、不足データを補足する研究を行ったり、周辺特許を追加取得したりして、製薬会社などが使いやすい状態に組み合わせて提供し、新薬開発などにつなげることを目的としている。設立当初は6億円を出資、今後3年間で10億円を上限として出資する予定で、民間企業からも武田薬品工業株式会社が出資を決定している。