政府が示す、その年の税制の基本方針。毎年12月に経済や社会の情勢をみながら作成し、大綱にそった税制改正法案を、翌年1月の通常国会に提出するのが通例となっている。2009年の自由民主党から民主党への政権交代後は、新たな政府税制調査会が設置されて内容を検討している。11年12月10日に閣議決定された野田佳彦政権下の12年度税制改正大綱では、基本的な考え方として、(1)環境分野などの新しい需要創出や技術革新など、「新成長戦略」実現に向けた税制措置、(2)税制の公平性確保と課税の適正化、(3)地方税の充実と地方税制度改革、(4)11年度税制改正における積み残し事項への対応、が中心とされた。改正にあたり、とくに、新車購入時や車検の際に納める自動車重量税などの存廃をめぐって、与党民主党や自動車業界、経済産業省と財務省などの間で議論が紛糾。最終的には、重量税の段階的縮小と、低燃費の車種に対するエコカー減税延長やエコカー補助金などで決着した。また、格差是正の一環として、年収1500万円以上の人に対して給与所得控除額の上限を245万円に定めるなどとした。また、省エネルギー性能が高い家を買う場合にローン減税の幅を大きくする制度を新設したり、親などに家の購入資金を支援されたときの贈与税を1000万円まで非課税にする制度を延長した。さらに、東日本大震災の復興を進めるため、福島県をはじめとする被災地の、企業などへの優遇税制も盛り込んだ。前年度からの積み残し案件としては、石油製品などに税を上乗せする地球温暖化対策のための税(環境税)の導入が盛り込まれた。