日本の中央銀行である日本銀行(日銀)の業務を取りまとめ、管理する代表者。日銀の最高意思決定機関である政策委員会は、議決に多数決を採用する一方で、可否が同数の場合は、慣例として議長を務める総裁が決定権を持つなど、その権限は大きい。就任には、国会の同意と内閣の任命が必要だが、1998年施行の日本銀行法(新日銀法)によって、旧法にあった主務大臣の解任権が廃止されたことから、原則として、5年の任期中は解任されない。かつて、内閣総理大臣など「三権の長」を上回ることから批判を受けた日銀総裁の報酬は、98年に引き下げが行われたものの、公開が義務付けられている特殊・認可法人の中で最高の3640万円(2006年7月公表の年額、一時金を含む)。近年の日銀総裁には、日銀と旧大蔵省の出身者が多く、08年1月現在の総裁である福井俊彦も、総務局長や副総裁を経た事実上の生え抜き。歴代の総裁には、兄の彌太郎とともに三菱財閥の礎を築いた岩崎彌之助(第4代)、後に大蔵大臣、内閣総理大臣を歴任する高橋是清(第7代)など、日本の経済史に残る人物が名を連ねる。第29代となる福井の任期は、08年3月19日まで。