会計士の育成や、会計業務に携わる社会人のキャリアアップを目的とした専門職大学院。2002年に設置された中央大学の専門職大学院国際会計研究科を皮切りに、本格設置の始まった05年度には計10校が開設。修了年数は原則2年。教員に一定数の実務家を配置することなどが定められており、一般に会計士の志望者が暗記中心の受験対策に取り組むとされるのに対して、会計大学院では実務を重視した教育が行われる。設置の背景には、アメリカのエンロンやワールドコムの破たんにからむ不正会計など、会計士の職業倫理が問われる事件が相次ぎ、国内でも会計士の質と数の向上が求められたことがある。金融庁は、02年時点で約1万4000人と、アメリカの約33万人に比べて極端に少ない日本の公認会計士を、18年をめどに5万人に増加させることなどを目標に、公認会計士制度の改革に着手。公認会計士法の改正により、06年度から国家試験を簡素化し、会計大学院で規定の単位を取得した修了者には、短答式試験の4科目中3科目を免除している。しかし、09年度には会計大学院が全国で18校に増加する中で、少なくとも9校で定員割れとなっていることが判明。原因として、会計大学院修了者の国家試験の合格率が専門学校卒業者と同程度であることに加えて、合格者の急増で監査法人や企業への就職浪人が増加していることが指摘されている。