社会起業は、行政や企業が対応できない社会的な課題に対して、ビジネスの手法を取り入れ利益を上げながら、ボランティアではなく事業として問題の解決をめざす取り組みのこと。ソーシャルビジネスといわれる場合もある。社会起業家は、こうした事業を興す人や団体のことをさす。事業の対象は、教育や環境、介護・福祉、子育て支援、地域振興など、幅広い分野におよぶ。業態は株式会社、NPO(非営利団体)法人などさまざま。社会起業は、イギリスで1979~90年まで続いたサッチャー政権の下、小さな政府の推進で公共サービスが縮小され、それを補完するビジネスとして注目を集めた。世界的には、低所得者層への少額無担保融資によって貧困からの脱却を支援するマイクロファイナンス「グラミン銀行」の創業者ムハマド・ユヌスが2006年のノーベル平和賞を受賞したことから、その存在が広く知られるようになった。08年に経済産業省のソーシャルビジネス研究会から出された報告書によると、先進国イギリスでは雇用者数は77.5万人、市場規模は5兆7000億円あり、日本は同じく約3.2万人、2400億円だが、3年後には2.2兆円に膨らむとしている。政府は10年3月から、起業家支援策として、有望な起業プランを地方自治体やNPO法人を通じて募集し、審査の上で1人あたり300万円を上限とする起業支援金を支給する制度を開始する。