ある疾患について、症例やリスクに関する情報を告知し、思い当たる消費者に医療機関での受診や早期治療を呼びかける、アメリカで始まった広告手法。広告主は製薬会社だが、具体的な商品名は出てこない。疾患啓蒙広告とも呼ばれる。広告のねらいは、消費者の疾患への知識を広げることで、未受診の患者や患者予備軍に疾患の自覚を促し、医療機関に足を運んでもらうことにある。受診する患者が増えれば、結果的に当該疾患の医療用医薬品の市場が広がり、売り上げ増が期待できる。医師が処方する薬である医療用医薬品は、効果は高いが副作用の恐れもある。そのため、世界的にはアメリカなど一部の国を除いて、商品名を露出した消費者向け広告が規制されており、こうした手法が考え出された。日本でも医療用医薬品の消費者向け広告はできないが、医薬品名の入らない疾患啓発広告は容認されており、約10年ほど前から増加し始めた。当時は水虫薬やED(勃起不全)などのテレビCMが話題となったが、その後、広告の対象となる疾患は、片頭痛、薄毛、ニコチン依存症、不眠症、逆流性食道炎、動脈硬化など、多様化している。