アメリカで、2012年末から13年初にかけて大型減税の失効や連邦政府の歳出の強制削減が重なり、財政が急激に引き締められる事態。また、その結果、崖(がけ)から転げ落ちるように景気が急速に冷え込むリスクも意味する。アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長がこの表現を初めて使い、一般に広まった。12年末にはブッシュ前政権下に導入された所得税などの大型減税(ブッシュ減税)が期限切れを迎える。また、13年1月からは11年に政府債務残高の上限引き上げが問題となった際(債務上限問題)に決まった財政削減策として、強制的な歳出削減が始まる。アメリカ議会予算局(CBO)によれば、年間で約6000億ドル(約48兆円)規模の緊縮財政となり、13年前半の経済成長率は最悪のケースで3%近いマイナス成長、失業率は9%台に上昇する、とその影響を試算している。12年11月16日、バラク・オバマ大統領は議会民主党、共和党指導部と協議を行い、財政の崖回避に向けて12月下旬までに合意をめざすことで一致した。