所得格差の是正を目的とする低所得層に対する支援策で、所得税制と社会保障給付制度を併せて運用する制度。経済学者のミルトン・フリードマンが提唱した。実際の所得が課税最低限を下回る低所得層に、その差額のうち一定の割合を給付(マイナス課税)する。所得が増えるにつれて給付額は減少し、課税最低限を超えれば所得税が課税される。たとえば、家族4人世帯の課税基準を400万円、税率50%とすると、所得が200万円ならば、200万円から400万円をひきマイナス200万円、これに50%の所得税をかけた100万円が給付され、手取りは300万円になる。また、所得が300万円に増えれば、同様の計算で給付は50万円、手取りは350万円と、働けば所得も増加するため、労働意欲を高める効果があるとされる。内閣府が2007年8月7日に公表した「07年度経済財政白書」では、所得格差の問題を取り上げ、日本は拡大傾向にあると分析、その是正のための新制度の必要性を提言し、具体策として「負の所得税制度」が挙げられた。