実質的には何の権限も報酬も与えられていないにもかかわらず、職制上は管理職扱いとされ、残業代も休日出勤の手当ても支給されない偽装管理職のことを、名ばかり管理職という。経営者と同列の立場に立って管理する立場である管理監督者について、労働基準法41条は、労働時間や割増賃金などは適用されない、としている。しかし管理職とは職制であって、すべての管理職が管理監督者であるとは限らない。「管理・監督の地位」を拡大解釈し、名ばかり管理職を管理監督者と見なして、サービス残業を強いる例が横行している。日本マクドナルドの店長が、管理職として扱われ、残業代を支払われないのは違法だとして、未払い残業代の支払いを求めた訴訟の判決で、2008年1月28日、東京地方裁判所は「職務内容から管理職とはいえない」とし、名ばかり管理職であるとの認識を示す判決を下した(被告は控訴)。これを受けて、日本労働弁護団が、同年2月11日に電話相談の窓口「名ばかり管理職110番」を設置したところ、約5時間で130件の相談が寄せられた。なかには高校卒業後1年目で管理職扱いとされ、基本給に1万円の手当てだけで、毎日2時間以上の残業代が支払われていないという例や、5万円の役職手当だけで月110時間以上の残業を強いられ、過労の末、自殺したケースなども寄せられた。