2008年11月6日に発表された、トヨタ自動車の09年3月期連結業績予想の大幅な下方修正が、各方面に与えた衝撃。売上高を従来予想の25兆円から前期比12.5%減となる23兆円に、営業利益を1兆6000億円から前期比73.6%減となる6000億円に、最終(当期)利益を1兆2500億円から68%減の5500億円にそれぞれ引き下げ、00年3月期以来の減収減益となるとの見通しを示した。日本を代表するトップ企業であり、世界最大規模の自動車メーカーであるトヨタ自動車ですら、大幅な業績悪化が避けられないという事実は、金融危機の実体経済への波及を鮮明に印象づけることになり、さまざまな方面に波紋を広げた。発表翌日11月7日の東京証券取引所は、トヨタ自動車株に売り注文が殺到し、株価は1日の値幅制限の下限となるストップ安を記録。さらに、輸出企業の業績悪化懸念から、一時、日経平均株価が630円を超える値下がりを記録するなど、株式市場急落の一因ともなった。また、系列会社や地方の生産子会社が、業績悪化に対応して期間従業員などの人員整理を実施し、雇用環境の悪化を招くとともに、従業員の生活品購入による売り上げの減少など、地域経済への影響も小さくない。さらに、トヨタ自動車や系列企業が集積する県や市などの地方自治体では、税収が極端に落ち込む見通しで、09年度財政の見直しに追い込まれる自治体も出ている。愛知県豊田市では法人市民税収が08年度当初予算比9割減、同田原市では08年度比で約8割減、などの報道もあり、愛知県は減収が2700億円を超え、知事が国への財源措置の要請に言及する事態となっている。