2009年10月12日、スウェーデン王立科学アカデミーは同年のノーベル経済学賞を、「経済統治についての研究」を理由として、アメリカ国籍の2氏、エリノア・オストロム(Elinor Ostrom アメリカのインディアナ大学教授)博士とオリバー・ウィリアムソン(Oliver E. Williamson アメリカのカリフォルニア大学バークリー校教授)博士に贈呈すると発表した。オストロム博士は経済学賞初の女性受賞者。牧草地や森林、湖沼などの共有財産は、従来は政府や個人による規制や統治が必要と考えられていたのに対して、実地調査を通じて、利用者たちによる共有管理でも利害調整による効率的な保護・運営がされることを証明し、理論化した。ウィリアムソン博士は、企業統治分野のパイオニア的存在。企業の利害対立の調整機能に焦点を当てて市場と企業の違いを分析し、内部取引など、ときには市場以上に効率的な企業のあり方を、理論的に実証した。いずれも、これまでの市場に焦点を当てた研究に対して、企業や団体などの組織、制度など、市場以外での経済活動の役割、意義を解き明かす研究によって「経済統治」の分野を切り開いた功績が評価された。賞金は2等分される。ノーベル経済学賞は、正式にはアルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン銀行賞とよばれ、1968年にスウェーデン国立銀行が設立300周年の一環として、ノーベル財団に働きかけて設立された。ノーベル物理学賞、化学賞と同じく、スウェーデン王立科学アカデミーが選考する。