2011年3月の福島第一原子力発電所事故により経営危機に陥った東京電力が、政府の原子力損害賠償支援機構と共同で作成した事業再生計画。12年4月27日に枝野幸男経済産業相へ提出され、5月9日に政府の認定を受けた。事業計画には、支援機構が1兆円の東電発行株式を引き受ける方針を明記。これにより、同機構が議決権の過半数を握るため、東電は実質国有化される。経営合理化策としては、1兆2758億円の人件費削減などを含む「10年間で3兆3650億円を超えるコスト削減」などを打ち出した。また、委員会設置会社への移行、事業部門ごとの収益・コスト構造の明確化を図るため、社内カンパニー制の導入なども実施する。一方、収益改善策として、家庭向け電気料金の1キロワット時当たり平均2.40円(10.28%)の引き上げや、13年4月から新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働など、難航が予想される案件も盛り込まれている。この計画は、11年11月に認定され12年2月に一部変更した「特別事業計画(緊急特別事業計画)」を全面的に差し替えたもの。当初12年3月末の提出を目指したが、新会長人事が難航したことなどから策定がずれ込んでいた。