2010年10月11日、スウェーデン王立科学アカデミーは同年のノーベル経済学賞を、「なぜ求人が十分にあるのに多くの失業者がいるのか」「政策は失業にどんな影響を与えるのか」という疑問に答える理論を構築したことを理由に、アメリカ国籍のピーター・ダイヤモンド(Peter A. Diamond アメリカのマサチューセッツ工科大学教授)博士とデール・モルテンセン(Dale T. Mortensen アメリカのノースウエスタン大学教授)博士、イギリスとキプロスの国籍をもつクリストファー・ピサリデス(Christopher A. Pissarides イギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授)博士の3人に贈呈すると発表した。ダイヤモンド博士は、労働経済学の基礎となる「サーチ理論」の確立が評価され、モルテンセン博士とピサリデス博士は、この理論を労働市場に適用させて発展させた功績が認められた。サーチ理論とは、売り手と買い手が直接に取引しない市場では、情報不足などでお互いを探す手間とコストなどの摩擦が生じ、取引がなかなか成立しないという理論。労働市場に応用すると、求職者はよい職を、雇用者はよい労働者を求めるため、求職者と求人企業が簡単に結びつかずに雇用のミスマッチが生じ、また、手厚い失業保険は、失業者が余裕を持ってよりよい職を求めるため、失業期間を長引かせることなども解明された。賞金は3等分される。なお、ノーベル経済学賞は、正式にはアルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン銀行賞とよばれ、1968年にスウェーデン国立銀行が設立300周年の一環として、ノーベル財団に働きかけて設立された。ノーベル物理学賞、化学賞と同じく、スウェーデン王立科学アカデミーが選考する。