ゼネコン大手の大成建設(本店・東京都新宿区)が開発した、高さ100メートル以上の超高層ビル用の解体工法。2011年3月に閉館した、東京都千代田区紀尾井町のグランドプリンスホテル赤坂(旧赤坂プリンスホテル、通称「赤プリ」)の解体工事で採用され、注目を集めた。工期は12年6月~13年5月の予定。同工法は、ビルの既存屋根を有効利用し、閉鎖空間の中で解体作業を進めるのが特徴。具体的には、ビル最上階の屋根を昇降機能つきの仮支柱で支え、外周には専用足場を帯状につり下げることで、建物上部を帽子状にすっぽり覆う。解体部材は内部に設けた穴からクレーンで地上へと下ろし、1フロア分解し終えたら仮支柱のジャッキを下げ、帽子状の機構全体を降下させていく。こうして上から順に解体するため、外からは少しずつ建物が縮んでいくように見える。なお、赤プリの場合は1フロアの階高が低いため、2フロアずつ作業を行った。上部が解放された状態で最上階から破砕していく従来の解体工法に比べ、高層階での強風や天候の影響を受けにくく、工期の短縮が見込める。また、粉じんの飛散、騒音、振動などの環境問題も大幅に改善する。廃材を地上に下ろす際の落下エネルギーをバッテリーに蓄電、クレーンや照明などに再利用するなど、省エネも図っている。